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【誰にもわかる経絡治療講話】 of 東洋医学と鍼灸

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keirakukouwa.jpg 古典的な鍼灸治療の代表である「経絡治療」。『難経』六十九難、七十五難を元にした鍼灸治療で、現在もこの治療で成果を挙げている先生は多く、それに続かんと研鑽に励む人も多いものです。この経絡治療を復興したのは、昭和初期に集まったグループでした。東洋鍼灸学校の創設者である柳谷素霊氏が、「古典に還れ」と日本の鍼灸家に問いかけ、その号令によって、古典的な鍼灸治療を追究する人々が、音頭をとった柳谷素霊氏の下に集りました。この集まりによって、それまで経穴と病名をつなげただけの対処療法的鍼灸治療から、歴史の中で埋もれてしまっていた病因病症を基にした治療の再興がはじまりました。そしてこの治療方法は、“経絡治療(けいらくちりょう)”と名づけられ、その研鑽と研究が進められ、今日に至っています。

 この『誰にもわかる経絡治療講話』は、草創期のメンバーである本間祥白氏によって書かれた名著です。残念ながら著者の本間祥白氏は、グループの中でも早く亡くなりましたので、その活躍を長く見ることはできなかったのですが、この本の他に『難経の研究』なども多数の名著を記しておりますので、氏の研究の成果は今日にも脈打っています。本書を読みますと、草創期ゆえの力強さを感じます。当時は鍼灸の科学化を訴える現代派や、澤田健先生の太極療法を唱える人々がいたり、鍼灸師の中でも、経絡治療の是非が喧々諤々、論議を巻き起こしていました。そういった時代背景の中で、経絡治療をより分かりやすく、よりシステマティックに、そしてより現実的にしようという意図が本書の背景にはあったのではないかと思います。

 東洋医学の理論は、本来荒唐無稽なものではなく、当時では最先端の医学であり、当時としての科学でありました。東洋医学の理論は“古い”ものではなく、古くて“新しい”もので、しっかりと臨床に活かせるものです。この本は、鍼灸治療に必要なガイドラインを学ぶには最適で、読めば読むほど東洋医学の奥深さが伝わってきます。
 本書には、昭和24年に初版が出されて以来、長きに渡って読み継がれてきた重みがあります。 古典的な治療を志す治療家の入門書として、いまだに廃れないスタンダードかつ最適な一冊です。司会者、質問者、それに答える先生の講義形式で書かれているので、読みやすい本でもあります。

本書データ

LinkIcon『誰にもわかる経絡治療講話』
著者 本間祥白
発行 医道の日本社
価格 2625円(税込み価格)
初版 1949年発行
対象 初心者・中級者
お薦め度 ☆☆☆☆☆
昭和初期に経絡治療を復興した熱きグループの一人である本間祥白先生の本。“誰にもわかる”というタイトルの通り、内容は基礎的なものになっており、経絡治療を学ぼうする初心者向けの本です。専門過ぎる内容なので、一般の方には不向きです。

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